ふと「そういえば ”#マンホール” って映画観たな~」と思い出したので、感想を話します。
こういう閉鎖空間で1人きりの画をずっと映す映画のジャンル、ありますよね。
なんだっけ。クローズドムービー?スタンドアローン?ソロファイト?とにかく主演の中島君が1人で頑張る画が8割で、彼はめちゃめちゃ頑張ってました。
一番良いと思ったとこ:ネットの人が僅かな手がかりから主人公の位置を特定するのアツイ!
一番気になったとこ:唯一のスマホを何度もぶん投げる
ネタバレ感想です。それがイヤな人はブラウザの戻るボタンを押してアマプラで本編を観ましょう。99分だから短くて観やすいよ!
あとだいぶ前に観たから、一部に記憶違いがあったら申し訳!
概要
勤務先の不動産会社での営業成績は№1、社長令嬢との結婚も決まり、将来を約束された男・川村。結婚式前夜に開かれたサプライズパーティの帰り道、酩酊した彼はマンホールの底に落ちてしまう。深夜、穴の底で目を覚ました川村は、手元にある唯一の道具・スマートフォンを駆使し、GPSで居場所を探るが誤作動を起こしてしまう。警察や友人知人、果ては元カノにまで助けを求めるも状況は悪化の一途をたどるのだった。ついにはSNSでアカウントを立ち上げ、フォロワーに助けを乞いながら脱出を試みるのだが・・・。
Filmarks®より
あらすじ
華やかなお祝いパーティから一転、暗くて汚いマンホールの底へ
この映画は主人公・川村の結婚を祝う、同僚からのサプライズパーティから始まります。
パーティが終わって、酔っぱらった川村がフラフラ歩いていると、フッとその姿が消えました。目を覚ましたらそこは賑やかな渋谷の街から一転、薄暗いマンホールの底という導入。
このマンホールの中が超汚い
金属も腐食しているし、冷たい水が流れてくるし、虫がいるし、瓦礫とか溜まってるし・・もう観てるだけで背筋ぞわぞわしてくる系マンホールです。
この素晴らしい造形のお陰で、「一刻も早くこんな汚ねー場所から脱け出したい!!」という川村の必死さが、痛いほど伝わってきました。もし目覚めて自分がこんなとこいたら、、いや想像もしたくないわほんと。
しかも川村は落っこちたときに太ももを切ったらしく、深い裂傷を負っていました。この傷、けっこうズームインされるんだけど、もう見てるだけで痛いです。ちょ、あんま映さないで。いやまじで。ズームすんなてカメラぁ!!(←グロいの苦手)
川村は怪我の痛みを我慢して必死に梯子を登ろうとするのですが、梯子が途中で折れてまた落っこちます。そこで太ももの傷をもろにぶつけちゃって、あまりの痛みに絶叫。
「うあぁぁぁあぁぁぁーーー!!!」
その悲鳴だけで「痛ててててて!!」ってなりました。やめたげてー!
動けない川村はマンホールの外に向かって何度も助けを呼ぶのに、人の気配は全くしません。
えっ渋谷なのに?あそこ深夜でも人だらけよ?だって私、夜の渋谷のライブカメラとかたまに観るもん。
そう、そもそもこのマンホール、最初からやけに不自然なのです。
- 渋谷の街中でマンホールに落ちて、なぜ誰も目撃者がいないのか?
- このマンホール、あまりにもボロボロ過ぎないか?
- いくら夜中でも、渋谷の街でこんなに叫んで気が付かれないことあるのか?
そんな疑問を抱えながら、川村の奮闘を見守ります。
川村に唯一残された手段は、手元に残されたスマホ。充電は確か60%くらいでした。絶妙。
このスマホを使って、果たして川村はマンホールの中から脱出できるのかーーー!?
そのスマホもなんだかおかしい?
とりあえず川村は必死に仲間へLINEしたり電話を掛けるんだけど、何故か誰も応答してくれません。婚約者ですら反応なし。
えーそんなことある??結婚式の前日だよ?ふつー「いよいよ明日だね♡」「ね♡」「も~明日早いんだから早く寝なきゃ♡」とかイチャイチャしながら夜中まで電話したりすんじゃないの?
さっきまであんなたくさんの同僚と飲んでいたのに、誰も電話に気付かないなんてあり得るだろうか??
そんな中、ようやく1人が電話に出てくれました。元カノの工藤舞ちゃん。
川村からの「マンホールに落ちた!助けてくれ!!」と切迫感溢れる声に只事ではないと感じ取った舞ちゃんは、川村が送った地図を頼りに車を走らせ、マンホールを探してくれることに。まさに地獄に仏!
川村は警察にも電話するけど、GPSを頼りに居場所を伝えると、警察は「そんなマンホールは見つからない」とのこと。いたずらではないかと訝しがられます。川村は必死でいたずらじゃない、早く見つけてくれ!と訴えるけど、警察は川村のいうマンホールを見つけられず、電話を切られてしまいます。同じく舞ちゃんからも「見つからない」との返答が。
となると、川村のスマホのGPSが狂っている・・そんなことあるの??
めちゃめちゃ痛そうで見ていられない
ここでね、私がこの映画で一番キツかったシーンなんですけども。
川村が足に酷い怪我をしたって舞ちゃんに話したら、看護師の舞ちゃんは「そんな不衛生な状態で傷を放置したらマズい!今すぐ傷を塞がなきゃ!」と言います。そう言われたってここは不衛生で何も無いマンホールの中。あるのは川村のカバンとスマホくらい。じゃあどうするかっていうと、舞ちゃんは恐ろしいことを提案します。
「川村くん、ホッチキス持ってる?」って・・
イヤーーー!!!ヤミテーーー!!!
お察しのことと思うので詳細は省きます。も~~このシーン観ていられなくて、当時スクリーンの前で私はずっと目を覆ってました。川村の悲鳴も悲痛すぎてぇ・・(震)
しかもここのシーンやたら長いし描写も丁寧で「もういいから!分かったからもう終わってくれ!!」って必死で念じてました。バチンバチンと丁寧に描写してくれちゃって・・時間がすんごく長く感じたよもう。
でもここらへんで、あれ?舞ちゃんもおかしくない??ってなってきます。
だって、針と糸で縫合するならまだ分かりますよ?それも想像するだけでめちゃめちゃ痛いけど。でもいくらなんでもホッチキスは無いよね?最悪痛みでショック死とかしない?え、看護師が言うなら正しいの??
唯一の頼りである舞ちゃんですら、なんだか不穏な空気が漂ってきました。
#マンホール女になってネットで助けを求める作戦
このあとたしか、苛立った川村が舞ちゃんに怒鳴って、ショックを受けた舞ちゃんが電話を切ります。(うろ覚えですみません)
絶望的な心地で天を仰ぐ川村ですが、ふと思いついてTwitter的なアプリを開き、適当な女性のフリー画像を見つけてきて「マンホール女」っていうアカウントをあっという間に作り出しました。(2段階認証とか地味に面倒なのに・・)と川村の手際に感心する私(そこか?)。
「マンホールに落ちました。助けてください。#マンホール女」と書き込んで、SNSで助けを求める作戦です。「川村俊介の妹」という設定にして、可能な限り自分の情報を開示することに。女の設定にすればよりネット民が食いつきやすいだろうって発想は、賢いけどなんか狡猾というか打算的だなと感じました。いや彼も助かるのに必死なんだけどね。
するとさすがネットの世界。川村が状況を投稿し、それに対して色んなコメントが付き、あっという間に拡散されていきました。するとネット民からは、
「マンホールに落ちたのではなく、誰かに拉致られて遠くまで連れてこられたんじゃないのか?誰かに恨まれているんじゃないのか?」
と書き込まれます。いやそりゃそうよ。だって明らかにおかしいもん色々。
最初は頼もしい雰囲気だったSNSですが、ネット民はみるみる異様な方向に暴走します。
そのうちの1人であるハンドルネーム「深淵のプリンス」が、犯人候補として挙げられた川村の同僚・加瀬(←さっきのサプライズパーティにも参加してた)の自宅を特定・侵入し、痛めつける動画を投稿したのです。いや怖すぎるって…なにその行動力と狂気。マンホール女のアイコンが可愛いからなの?それフリー画像の合成よ?
ネット民たちは引き続き“マンホール女”の居場所や事件の犯人を特定しにかかりますが、その間にも川村のいるマンホールはガス漏れが発生したり、有害な泡がぶくぶく溢れ出して溺れそうになったり、様々な危機がガンガンに迫ります。
しかし川村は機転が利く男でした。泡と同時に発生していたガス漏れを利用し、持っていたライターを点火してガス爆発を起こし、一気に泡を吹き飛ばしたのです!生き延びた川村!そんな大爆発を起こしたマンホールの中にいて何で無事なんだ?っていう疑問は置いといてスゴいぞ川村!
”川村”の正体
しかし爆発の影響で、マンホールの中に積まれていた瓦礫や土の中から、思わぬものが露出しました。それは白骨化した人間の遺体。それを見た川村は、自分がどこにいるのか、誰に恨まれているのか、すべてを悟りました。ここの驚愕と恐怖と合点がいった表情、凄くゾクゾクしましたわ。
実は、彼はもともと川村俊介ではありませんでした。
10年前、自分の人生に絶望し、輝かしい未来を歩もうとしている本物の川村俊介に嫉妬して撲殺。遺体をこのマンホールに捨てて、自分の顔を川村俊介の顔そっくりに整形し、彼の人生を文字通り奪って自分のものにしていたのです!そう、彼はドクズ野郎だったのです!!
でもね、ここで合点がいきました。なにせこの川村、映画冒頭からやけに感じが悪かったのです。警察に対しても、元カノの舞ちゃんに対しても、上から目線で高圧的。「こいつイヤな奴だな」と観客はみんな感じてた筈だから、この正体には納得でした。
でもそうなると、今まで目を覆いたくなるほど酷い目に遭っていた川村に対して、「可哀想」から「いい気味だ」っていう感想に変わりました。そんな自分にもゾッとしましたね。
犯人は
判明した居場所を舞ちゃんに伝えると、車で助けに来てくれるとのこと。いやー最初から最後まで舞ちゃんは救いの神ですね(フラグ)
どれくらい経ったのか。もう空が明るくなってきたマンホールの外から、ロープがパラッと下りてきました。川村は必死にそのロープに縋り、ボロボロの身体で懸命に登ります。念願の地上にようやく這い出た川村…!!
…の目の前にいたのは、冷えきった眼でこちらを睨みつける女性。
そう、お察しの通り舞ちゃんは舞ちゃんではありませんでした。彼女は舞ちゃんのフリをしてずっと電話で指示をしていた、この一連の騒動の真犯人。本物の川村俊介と付き合っていた折原奈津美という女性だったのです。
恋人を殺害され、彼の遺体を隠され、彼の人生も乗っ取られた。なのにニセ川村は何の罪にも問われず、のうのうと生きている。しかも明日は社長の娘と結婚。そりゃあ復讐に狂います。何度痛めつけても足りないに決まってます。
奈津美さんは光を失った目で、「持ち主に顔を返さなきゃ」と言ってメスでニセ川村の顔を切り取ろうとします。恐すぎ。いやそんな目に遭って当然だけどその描写は見せないでね?これ以上のグロはやめてよ?
でもニセ川村はどこまでも狡猾でした。泣いて許しを請い、懇願し、奈津美はかつての恋人と同じ顔で縋りついてくるニセ川村に、それ以上傷つけることが出来なくなって背を向けてしまうのです。その瞬間、先ほどまでの懇願はどこへやら、ニセ川村が背後から奈津美の首をロープで絞め上げ、そのままマンホールに突き落とそうとします。こんなクズ野郎に一瞬でも同情したらダメですね。
ニセ川村の結末
川村が奈津美を締め上げていたそのとき。なんと場所を特定した「深淵のプリンス」がボウガンで川村を射抜きました!しかもその正体はまだ小学生くらいの子供だったのです。
川村は「俺がマンホール女だ、そいつが犯人だ」と必死に主張しますが、傍から見ればどちらを信じるかは一目瞭然でしょう。だって自分で名乗ったのです。マンホール「女」って。
「深淵のプリンス」は川村の言葉を信じず、「マンホール女」である奈津美を守って悪を成敗するため、川村をマンホールに突き落としました。再びマンホールに堕とされた川村は、必死の叫びも虚しく、マンホールの蓋をゆっくりと閉じられてしまうのでした・・・
感想(良かった点)
私がこの映画を観に行こうと思った一番の理由が、「お互い会ったこともない遠くにいる見知らぬ人達が、僅かな手掛かりから各々の知恵や知識を振り絞って、誰かを助ける」っていう設定が大好きだからなのです。
例えば世界仰天ニュースとかでたまにやる「誘拐された被害者が電話で状況を伝えて、コールセンターの人がその情報だけで場所を特定して助け出す」的なやつ。ああいうの超好きです。スゴい感動する。
本作も、ネット民が「どんなマンホール?」「特徴は?」「蓋に情報が書かれてるかも」「周りの音は?」って各々の得意分野からどんどん絞り込んでいくシーンが、一番ワクワクしました!ていうか唯一ワクワクしました!笑 いや、ここ以外ほんと救いがないのでこの映画。
このあと「深淵のプリンス」とかおかしなのがどんどん出てきて、自分で煽ったネット民によって川村は破滅しますが、良くも悪くも私たちの想像を遥かに超える力を生み出せるのがインターネットなんだなと再認識したシーンでした。
感想(気になった点)
スマホを上空に向けて投げるなーーー!!!
先ほども少し話しましたが、ネット民から「マンホールの蓋に情報が書かれてるかも」という書き込みを見て、川村は外に落ちているであろうマンホールをどうにか映像に収めようとします。そこでどうするかというと、彼は唯一の助かる道であるスマホを、ためらうことなく何度も上空にぶん投げて蓋を映そうとするのです。いやいやいやいや!それちょっとでもコントロールミスったらスマホ地上に引っ掛かって戻ってこれないよ!?そしたら本っ当に助かる道が無くなるよ?詰むよ?
ここは川村の勇気に敬意を表すべきだったのかもしれませんが、私はハイリスク過ぎてまじやめとけーー!!と心の中で絶叫してました。
結論
思ってたよりホラーで痛々しい映像が多い作品でしたが、最後のどんでん返しは素直に面白かったです!あと中島君めちゃ頑張ってた!